
このエントリーでは、AIの分類を説明します。
いまや「AI」という言葉を聞かない日はない、と言っても過言ではないでしょう。毎日のように「新しいAIサービスが出た」、「こうやってAIを使えば効率化できる」といったニュースが流れてきます。
このような状況のもとで、「AI」がビッグワード(人によって意味がバラバラな言葉)になってしまった感は否めません。ここを揃えましょう。
具体的には、以下の問いを考えます。
- 「AI」とは何か?
- どのようなAIがあるのか?
- まずはどのAIから触ればいいか?
なお、本当に基礎的なところから説明するので、知っている部分は読み飛ばしてください。
では始めましょう。
toc
AIとは
辞書的には、「AI」とは「人工知能」を意味する言葉です(「Artificial Intelligence」の略称)。人間の知能をコンピュータ上で再現する技術の総称だと考えてください。
AI・人工知能(辞書的な定義):コンピュータ上で人間の知能を再現する技術の総称
ただ、2026年現在においては、「AI」とはChatGPT、Geminiのような「生成AI技術を使ったサービス(アプリ・ソフトウェア)」という定義で問題ないことがほとんどです。
どういうことでしょうか?
「生成AI」とは
ここでの「生成AI」とは、その名のとおり「何か(文章や画像など)を生み出せる人工知能」のことです。「生成AI」と呼べるもの自体は昔からあったのですが、その性能はとても人間の知能と比べられるようなものではありませんでした。スラングで「人工無能」と呼ばれていたくらいです。よって、従来のAIは「識別」や「予測」といった仕事に特化しており、「生成」は注目されていませんでした。
ところが、2010年代からいくつかの技術ブレークスルー(Deep Learning、Transformerなど)が起こり、生成AIの性能が劇的に向上し始めました。2020年代にはそれが結実し、その象徴が2022年に公開されたChatGPTです。その後のAIブームに関しては、説明する必要はないでしょう。生成AI技術を使ったサービスが、それこそ毎日のように生まれています。
結果として、現在私たちが「AI」という言葉を使うとき、それは「生成AI技術を使った具体的なサービス」を意味することがほとんどです。ということで、以下を「AI」の「実用的な定義」としましょう。
AI(実用的な定義):生成AI技術を使ったサービスのこと(例:ChatGPT、Gemini)
AI研究者でもないかぎりこの定義のほうが使い勝手がいいので、当サイトも今後はこの意味で「AI」という言葉を使います。
AIの分類
具体的に、どのようなAIがあるのでしょう? 以下にまとめました。

わかりやすいように、具体的なサービス名は少なめにしました。それはAIに聞けばいくらでも教えてくれるので、ここでは分類の枠組みを押さえることに集中してください。それさえわかれば、自分が重点的に触るべきAIを選べるようになるはずです。
ここでは、以下の枠組みで整理しました。
- 汎用AI・LLM(Horizontal AI)
- LLM(脳そのもの)
- LLM(脳)で完結せず、特定の用途に向ける
- 外(ネット)向け
- 内(自分の用意したデータ)向け
- 特化AI(Vertical AI)
- クリエイティブ系
- 画像生成
- 動画生成
- 音楽・音声生成
- デザイン・資料作成
- プログラミング
- その他
- クリエイティブ系
なお、新しい言葉はすべて造語だと考えてください。一応、なるべく普及しているものに揃えたつもりですが、このあたりの用語はまだまったく定まっていません。
順に説明します。
AIの分類①:汎用AI・LLM
まず、もっとも大きい分類は、そのAIが汎用的なものか、特定の目的・領域に特化したものかです。このうち、汎用的な(さまざまな用途に使える)AIを「汎用AI」と呼ぶことにしましょう。英語では「Horizontal AI」と呼ばれます。代表的なのは以下の3つですね。
これらのAIでは、私たちはテキストベースでAIとチャットします。もしまだひとつも触ったことがないなら、いますぐ上記のリンクから触っておいてください。
少し触ってみれば、コンピュータの向こう側に、もうひとりの人間がいるような錯覚に陥ることがわかるでしょう。これはまさに「人工知能」です。
汎用AI:さまざまな用途に使えるAI
LLM
汎用AIはすべて大規模言語モデル(Large Language Model)という技術で作られているので、その頭文字から「LLM」と呼ばれることも多いです。こちらもセットで覚えてください。
LLM(Large Language Model):汎用AIの裏にある人工知能技術。事実上、「汎用AI」の同義語と考えて問題ない
専門的な文脈では「LLM」のほうが適切なのと、あまりに「AI」という言葉が多いとわかりにくいので、これ以降、このエントリーでは「汎用AI」という意味で「LLM」をメインに使うことにします。
LLMでできること
LLMは、ざっくり「世の中に公開されている情報を大体知っている、とても賢い人(もしくは脳)」だとイメージするのがよいでしょう。この人が、疲れ知らずであなたをサポートしてくれます。具体的な用途は、抽象化すると以下の3つのどれかになることがほとんどでしょう。
- 教師にする
- 情報収集・調べもの(モデル内で完結)
- 学習・勉強のサポート
- 文章の添削
- 作業をさせる
- アイデアを出させる
- 文章を作成させる・翻訳させる
- 議論相手・話し相手にする
- 思考の壁打ち・ブレスト
- おしゃべり
さすがに、「これらの用途のどれも必要ない」という人はまずいないでしょう。触ってみればなんらかの有用性を見出せると思うので、まずはLLMを触るのがオススメです。
ちなみに、無料と有料の違いは、モデルの賢さとサポート回数だけです(無料だと最上位モデルの使用に制限がかかる)。まずは無料から始めればよいでしょう。
LLM通常モードの問題点
通常モードで使っている場合、LLMは自身のモデル内、つまり、「(人工知)脳内」で答えを出します。答えが即座に返ってきた場合は、脳内で処理されたと考えてください。
この仕様は「やりとりがテンポよく進んで、ストレスがない」というメリットはありますが、2026年時点で、以下の2つの問題を抱えています。
- 情報収集が目的の場合、その信頼性が怪しい
- こちらが用意したデータを参照させると、精度が下がる
順に説明します。
LLM通常モードの問題点①:情報の信頼性が怪しい
まず、「情報収集・調べもの」はLLMのもっとも基本的な用途のひとつですが、現状、調べた情報の正しさをそのまま胸を張って他者に伝えられるレベルにはなっていません。
知ってのとおり、LLMには「ハルシネーション」という、間違っていることを自信満々に断言する傾向が存在します。2026年時点でこの傾向はかなり改善されてはいますが、それでもLLMがたまにおかしなことを言うのは間違いありません。
また、さすがにまだ「LLMがこう言っているので正しいです」という理屈が通る世の中にはなっていないし、情報収集の結果を他者にレポートするようなケースでは、情報の正しさの責任を負うのは人間です。
ということは、LLMに情報を集めさせるとしても、その後で人間が裏どりする必要があるし、最終的なソースは「AI」よりも「人間(が書いた文章・Webサイト)」のほうが望ましいのです。ここに議論の余地はありません。
まとめると、調べた情報の正しさが厳しく問われるケースでは、まだLLMの脳内に頼り切るのはリスクがあるということです。
解決策①:外(ネット)に向かわせる
この問題は、LLMがネットリサーチをすることで、以下のように解決します。
- 答えのソースが「AIの脳内」ではなく、「人間の作った情報(≒具体的なURL)」になる
- ハルシネーションのリスクが大幅に減る
- ソースを示せるので、他者に対して説明できるし、その責任を負える
もちろん、人間が作った情報であろうと間違っている可能性はあるわけですが、それを言い出してしまうとどうにもなりません。少なくとも、現在はこのアプローチのほうが誠実だということです。
主要LLMにはどれも、「Deep Research」といった名称でこの機能が搭載されています(有料でないと使えないケースもあり)。大体、以下の2機能がセットになっていることが多いですね。
- モデル内で完結せず、ネットリサーチをする
- 時間をかけてじっくり結論を出し、その結果をレポートにまとめる
ChatGPTかGeminiなら、無料でDeep Research機能も使えます。とりあえず一度は使っておくとよいでしょう(使い方はAIに聞いてください)。
また、Perplexityという、この用途に特化したAIもあります。パッと見では主要LLMとの違いがわかりませんが、「最初からLLMがネット側を向いている」のがこのサービスの特徴です。仕事で頻繁にリサーチをする人は、こちらもチェックするとよいでしょう。
LLM通常モードの問題点②:外部データを参照させると精度が下がる
次に、LLMにはこちらが用意した資料・データを参照させると、精度が下がるという問題があります。
前提として、仕事の文脈で深い議論をしたいときや、範囲が決まっている試験の勉強をするときなどは、以下のような自分で用意した資料・データをもとにLLMとやりとりしたくなります。
- 自分が作成中、または作成した資料
- 分析中のデータ
- 特定の文献
- 例:「期末テストの範囲はこの教科書のP100まで」なら、それを厳密に参照してほしい
当然、このような用途は想定されているので、どのLLMにもファイルをアップロードする機能がついています。
しかし、どういうわけか、LLMはアップロードした資料を正しく読めません。私の経験上は、そもそも読めなかったり、書いていないことを読む事態が頻発します(2026年3月時点。Claudeは比較的安定している印象)。
この現象も広義には「ハルシネーション」と呼ぶようですが(または「グラウンディングの欠如」)、まずはとにかく、「脳外にあるデータを参照させると、LLMは頼りにならないことが結構ある」というポイントを押さえてください。
モデル外のデータを参照させると、LLMはおかしな挙動をすることが多々ある
解決策②:内(自分の用意したデータ)に向かわせる
まとめると、以下の2点です。
- AIとやりとりするときには、私たちが用意したなんらかの資料・データを参照したくなることが多い
- 現状、LLMの通常モードは、それをうまく処理できない(Claudeは比較的安定)
そこで、「ユーザーが提供したデータを正しく読むことに特化したLLM」というのが考えられますよね。その代表例がNotebookLMです。これは「内向き用途に特化したGemini」と考えると理解しやすいでしょう。決められた教科書をベースに勉強したいときなどに、特に有用です(教科書を読み込ませる必要はありますが)。
また、Microsoft 365 Copilotも、このカテゴリーに位置するAIという整理にしました。これは「Microsoft OfficeのUI上で動くLLM(中身はChatGPT)」なので、製品コンセプトとして「内向き」を強調しているわけではありません。ただ、私たちがWordやExcelといったOfficeアプリを触るとき、そこには必ず私たちが作業している資料・データがあります。よって、Copilotは本質的に内向きのAIだと言って問題ないでしょう。
以上、簡単ですがLLMを概観しました。主要LLMの違いについては、さらに別エントリーで掘り下げる予定です(後日投稿予定)。
AIの分類②:特化AI

次に、特定の目的・領域に特化したAIを「特化AI」と呼ぶことにします。そのままですね。英語では「Vertical AI」と呼ばれます。
特化AI:特定の目的・領域に特化したAI
特化AIが盛り上がっているのは、主に以下の領域です。
- クリエイティブ系
- 画像生成
- 動画生成
- 音楽・音声生成
- デザイン・資料作成
- プログラミング
- その他:医療・法務・教育・ライティングなどに特化したAIが多数存在
特化AIに関しては、「人工知能」というより、「ずば抜けて便利な道具・ツール」というほうがしっくりくるでしょう。実際、画像生成AIや映像生成AIを使えば、誰でもそれなりの画像・映像を作れるようになりました。
特化AIも、とりあえず触るべき
特化AIはその名のとおり特化しているわけなので、何を触るべきかは「人による」としか言えません。実際、私も触っているのはLLMばかりで、特化AIはほとんど触っていません。
ただ、自省の念も込めて書くと、「とりあえずなんでも1回は触ってみる」という考え方のほうがよい気がします。
というのも、特化AIを使えばいきなり「できない」が「できる」になるからです。具体的には、以下のようなことが本当に起きます。
- 明日からイラストレーターになる
- 明日から映像作家になる
- 明日からプログラマー(厳密には、プログラムを理解せずにアプリを作る人)になる
もちろん、どれも「即座にプロレベル」といった甘い話ではないことは事実です。それでも、これまでには考えられなかったスピードで「できる(成果物を出せる)」ことは間違いありません。
このような状況では、「それは私には関係ないからパス」という理屈自体が成立しません。すぐできるようになるなら、できるようになってから要・不要を判断すればいいからです。
私もとりあえず、これからClaude Codeを使って「AIエージェント」と呼ばれる、裏でLLMが動くアプリを作ってみる予定です(私はプログラミング素人ではありませんが)。その後は、音楽家にもなってみようと思います。本当にとんでもない時代になりましたね。
以上、AIとは何か、AIの分類を説明しました。
なお、AI関連のエントリーは以下にまとめています。