コストの種類

このエントリーでは、コストとは何かコストの種類にはどんなものがあるかを学びましょう。

私たちはあらゆる行動の際に、必ずコストを払います。さまざまなケースで役立つ内容なので、しっかり押さえてくださいね。

では始めましょう。

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コストとは

まず、「コスト」という言葉の意味を明確にしましょう。

辞書には以下のように書かれています。

コスト(cost)

費用。特に、商品の生産に必要な費用。生産費。原価。「コストを切り詰める」

[補説]金銭以外に、時間や労力などを含めていうこともある。

デジタル大辞泉 コトバンク より2018年11月21日取得

今回は「コスト」という言葉を広い意味で使いたいので、[補説]にあるように、金銭以外の概念も含めることにします。ということで、当サイトでは「コスト」を以下のように定義します。

コストとは、何かを行うときに必要となるモノです。この「モノ」は物理的な物に限らず、あらゆるものが含まれます。

コストのもっとも分かりやすい例は、もちろんお金です。何かを「買う」ときには、「お金」を払う必要がありますよね。よって、ここではお金がコストです。

では、「試験に合格する」場合はどうでしょうか。この場合、参考書などにかかる「お金」の他に、勉強するための「時間」や、内容を理解するための「集中力」も必要です。ここで太字にしたものは、すべてコストだと考えてください。

Keyword

コスト:何かを行うときに必要となるモノ(物理的な「物」に限らない)

リソース

ついでに、リソースという言葉も定義しましょう。コストと似た概念なので、セットで覚えてしまうのがオススメです。

リソースとは、個人や組織が所有しているモノのことです(物理的な「物」に限らない)

Keyword

リソース:個人や組織が所有しているモノ(物理的な「物」に限らない)

コストと似た定義なので戸惑うかもしれませんが、違いは「交換に使うか」です。以下のスライドでイメージを掴んでください。

コストとリソース

たとえば、財布の中に入っている1,000円は「リソース」ですが、何かを買うときに渡す1,000円は「コスト」です。このように、「ただ所有しているのか、交換条件なのか」で違いを捉えると分かりやすいでしょう。

つまり、何かと交換するためにリソースを手放そうとすると、それはコストと呼ばれるようになるわけです。どちらの呼び名でも、本質的に同じモノを意味していることが多いです。

当たり前の話ですが、リソースとして所有していないものは、コストとして払うことはできません1。無い袖は振れないですからね。よって、コストを考えるときには、同時にリソースも考える必要があります。

これ以降はコストを中心に話を進めますが、「コストとリソースはセットである」ということを忘れないでください。

なぜコストを考えるのか

言葉の定義ができたところで、重要なことを考えておきましょう。

なぜ、コストについて学び、それを考えるのでしょうか?

答えはシンプルで、コストの見積もりを間違えると、やりたいことが実行・完遂できないからです。

先ほど定義したように、コストとは何かを行うときに払うモノです。逆に言えば、コストが払えなければ、その行動は実行できません。また、たとえコストが払えたとしても、そのコストが自分の想像よりも大きければ、他の行動に影響が出ます。それはあなたの望むところではないでしょう。

つまり、何かをするときには、その行動のコストを正しく把握しておくべきなのです。

なお、まったくコストを払わずに実行できる行動は、世の中にはありません。たとえ「何もしない」という行動(?)をするとしても、「時間」というコストはかかるからです。

その意味で、コストを払うのは悪いことではありません。コストは払うしかないものです。「コスト」という言葉にはどうしてもネガティブなイメージがつきまといますが、ここは誤解しないでください。

Point

何をするにもコストは払うしかないが、そのコストを正しく把握することが重要

広い意味で「コスト」を捉えておくことの意義

では、お金以外のことも含めてコストを捉えることには、どのような意義があるのでしょう?

これも答えはシンプルです。広い意味でコストを捉えることで、払うコストを正しく認識できるようになります

先述のとおり、コストを払うこと自体は問題ではありません。しかし、自分が認識していないコストを払っているとしたら、それは問題ですよね。知らないうちに財布からお金がなくなるようなものですから。そして、お金以外のコストを認識していなければ、知らないうちに、財布以外の場所から、お金以外の何かがなくなる可能性はあるのです。

特に、プライベートな意思決定をするときには、お金以外のコストを評価することが重要になります

詳しくは後述しますが、大半のモノはお金で買えるため、ビジネスでコストを評価するときにはお金だけを見れば十分なことが多いです(というより、現実的にそれしかやりようがない)。しかし、あなた自身の意思決定をするときには、限られている時間やストレスのことまで考慮したほうが、間違った意思決定をせずに済むでしょう。

コストの種類

ここからは、コストの種類を学んでいきましょう。コストの全体像を以下のスライドにまとめました。

コストの種類

このように、コストは大きく5つに分けて捉えることがオススメです2

  1. 金銭コスト
  2. 時間コスト
  3. 認知コスト
  4. 肉体コスト
  5. 心理コスト(ストレス)

順に見ていきましょう。

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コストの種類①:金銭コスト

コストの種類

1つめのコストは、金銭コストです。分かりやすく言えば費用のことですね。先ほど辞書の定義にあったとおり、狭義の「コスト」とは金銭コストのことです。

Keyword

金銭コスト:ある行動にかかる金銭的費用

ただし、金銭コストは二次的なコストであるという点には注意が必要です。お金は交換手段でしかないからです。お金が一次的なコスト(行動に本当に必要なモノ)であることはありません。

たとえば、先ほど「試験に合格する」という行動のためには、参考書を買うお金が必要だと述べました。しかし、この行動のコストは厳密には参考書であり、お金ではありません。このように、お金は本当に必要なモノを手に入れるための手段です3

一般に、設備や機材、他人の時間(労働)などはお金で買えるので、金銭コストに変換されます。お金は「数値になり、客観的に比較可能になる」という特徴があるので、お金で買えるものは金銭コストに変換するべきです。

しかし、お金だけを見て、本当のコストが分からなくなっては本末転倒です。必ず、何を、いくらで評価したのかを記録してください。場合によっては、もっと安くそのコストが調達できるかもしれません。先ほどの例でも、先輩から参考書をタダでもらえば、お金は不要になります。それで問題ありませんよね。

Point

金銭コストは、その詳細(何を、いくらで評価したのか)が重要

このエントリーでは金銭コスト以外のコストに焦点を当てるため、一旦ここまでとします。金銭コストの詳しい説明は、次エントリーで行います。

コストの種類②:時間コスト

コストの種類

2つめのコストは、時間コストです。これは言葉どおり、「その行動を実行するのに、どれくらいの時間が必要か」という意味です。

Keyword

時間コスト:ある行動にかかる時間

金銭コストと時間コストが、コストのツートップです。どんな行動をするときにも、最低でもこの2つはチェックするのがオススメです。

Point

最低でも、金銭コストと時間コストはチェックする

時間コストには、以下の特徴があります。

  1. 数値化できる
  2. 絶対的な制限がある
  3. セットで投入されているコストがある

順に見ていきましょう。

時間コストの特徴①:数値化できる

時間コストの1つめの特徴は、数値化できることです。時間は測ることができますよね。これは金銭コストと同じ特徴です。

時間コストを評価する際には、感覚的に「これくらいの時間がかかっている」と認識していることが、実際にかかっている時間とズレることがあるという点に注意してください。特に、準備・片付けや、移動時間などが見落とされやすいです。真剣に時間コストを評価したいときは、きちんと活動を洗い出して、時間を計測しましょう。

時間コストの特徴②:絶対的な制限がある

時間コストの2つめの特徴は、絶対的な制限があることです。1日は誰にとっても24時間で、これを変えることはできません。

言い換えると、何かに時間コストを払えば、他のことに払える時間コスト(時間リソース)は減ります。それが嫌なら、金銭コストを払って他人の時間を買うか、その行動は行わないかです。

最近は「タイムパフォーマンス(タイパ)」という言葉も見かけるようになりました。時間コストの重要性が改めて認識されているのかもしれません。

時間コストの特徴③:セットで投入されているコストがある

時間コストの3つめの特徴は、セットで投入されているコストがあることです。

私たちが何かに時間を使うとき、本当の意味で「時間だけ」を使うことはありません。それでは時間が過ぎるのを待っているだけで、何もしていないことになるからです。

つまり、私たちが時間を投入するときには、時間とセットで何かを投入しているわけです。その何かは「労力」という言葉で表現されることが多いですが、ここに2つの問題があります。

  1. 投入した時間と労力は、必ずしも比例しない
  2. 「労力」という言葉は曖昧で、何を意味しているのか分からない

分かりやすい例は勉強です。たとえば、「毎日3時間勉強しよう」と決めて、予定も確保したとします。つまり、時間コストは担保されました。しかし、知ってのとおり、実際に3時間勉強するのは至難の業です。途中で頭が疲れてしまうこともあれば、スマホをいじりたくなることもありますよね。

つまり、このケースでは、時間コストよりも先に「労力」というコストが払えなくなっているわけです。この状況で「労力」とは、具体的には「集中力・理解力」といったものになるでしょう。勉強をやりきりたいなら時間コストだけに注目していてはダメで、この「集中力・理解力」をどのように担保するかを考えなければなりません。

このように、状況によっては「労力」とは何かを定義し、時間コストとは別のコストとして切り出す必要があるわけです。

「労力」とは

では、「労力」とは何なのでしょう?

人間の労力の出処は、ざっくり分ければ肉体しかありません。よって、以下の2つのコストが考えられます。

  1. 頭の労力:認知コスト
  2. 肉体の労力:肉体コスト

詳細はこれから説明しますが、この2つは時間コストの変化型だということを覚えておいてください。

コストの種類③:認知コスト

コストの種類

3つめのコストは、認知コストです。

認知コストとは、頭の労力のことです。要するに頭脳パワーだと考えてください。他にも、「集中力」、「理解力」といった言葉がイメージとしては近いです。

Keyword

認知コスト:「集中」や「理解」といった、ある行動に伴う認知行動に払われるコスト

このコストを考えるべきケースを、いくつか紹介しておきます。

まず、勉強や頭脳労働のように、「時間だけ使っていても、頭が働いていなければ意味がない活動」では、認知コストが払いきれるのか(認知リソースが足りるのか)を考えるべきです。頭が疲れて認知コストが払えないなら、ただの時間の無駄遣いになりますからね。

次に、プレゼンやウェブサイトのデザインのように、「ユーザーにスムーズに理解・使用してほしいもの」を考えるときには、いかにユーザーの認知コストを下げるかを考えるべきです。たとえばプレゼンなら、「話の流れに沿って、コンテンツをスライドの左上から右下に向かってレイアウトする」といった基本的なルールに従わないと、ユーザーに不要な認知コストを払わせることになります。

このように、頭を使う行動では、認知コストをチェックしてください。

コストの種類④:肉体コスト

コストの種類

4つめのコストは、肉体コストです。これは言葉どおり、ある行動をすることで生じる肉体的な疲労のことです。広義には、怪我・病気のリスクまで含めてもよいでしょう。

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肉体コスト:ある行動から生じる肉体的な疲労

肉体コストを考える代表的なケースは、仕事選びです。「頭脳労働/肉体労働」という言葉があるくらいなので、仕事の肉体コストは誰もが気になるところですよね。たとえば、大半のアルバイトは肉体コストが大きいので、例外的に肉体コストの低い、家庭教師や監視員といったアルバイトは常に人気があります。

肉体コストは、多くの場合「睡眠(回復)時間」という時間コストに変換できます。肉体的疲労を回復させるには睡眠が必要だからです。

例として、「毎日30分、自宅で筋トレをする」という行動を考えてみましょう。一見、この行動の時間コストは30分に見えますが、多くの場合、筋トレに伴い睡眠時間が増えます。もし睡眠時間が1時間増えるなら、実際の時間コストは1時間30分とすべきですよね。

私見ですが、この追加的な時間コストを見落とすことが、運動の習慣化に失敗する大きな理由であると感じています。運動の開始とセットで睡眠時間を増やすように最初から設計しないと、どこかに無理が出てしまうのです。

このような、「肉体コストから生じる追加的な時間コスト」は見落とされがちなので注意してください。時間コストのほうが数字になって扱いやすいので、可能なら時間コストに含めたほうがよいでしょう。

頭と肉体は切れていない

最後に注意点です。ここまでに、労力の出処を頭と肉体に分けて2つのコストを考えました。しかし、知ってのとおり、現実には、頭と肉体は分かれていません

たとえば、部活やアルバイトでヘトヘトになった後で、何か新しいことを勉強しようとは思えないですよね。つまり、肉体コストを払いすぎれば、その後に認知コストは払えなくなります。頭と肉体を、完全に独立したものと考えることはできません。

具体的に考えるためには頭と肉体に分けるしかないのですが、分けて考えることで失われることもあるということです。まずは分けて考えるのがオススメですが、どこかに「全体としての労力/エネルギー」という視点も持っておくとよいでしょう。

コストの種類⑤:心理コスト

コストの種類

最後のコストは、心理コストです。言葉どおり、心理的・精神的なコストのことですが、要するにストレスのことです4。特に説明は不要でしょう。

Keyword

心理コスト:ある行動から生じる(心理的な)ストレス

心理コストのもっとも分かりやすい例は、職場の上司です。独立して働くような場合を除き、「働いて、給料をもらう」ためには、上司と日々顔を突き合わせることは避けられません。そして、もし上司と馬が合わなければ、毎日働くことはストレスになります。これが心理コストです。

心理コストには、以下の特徴があります。

  1. 閾値が問題である
  2. 完全に主観的である

順に説明していきます。

心理コストの特徴①:閾値が問題である

心理コストの1つめの特徴は、閾値が問題であることです。

まず、「閾値」というのは分かりやすく言うとボーダーラインのことです。心理コストにおける閾値とは「ここを超えたら心身に影響が出るレベル(のストレス)」という意味だと考えてください。

一般に、ストレスがかかりすぎれば鬱や自立神経失調症になると言われています。しかも、これらの病気は風邪のように簡単には治りません。つまり、心理コストが閾値を超えれば、長期にわたって人生に悪影響を受けるリスクがあるということです。これは深刻ですよね。

かといって、心理コストをゼロにしようとすることは現実的ではありません。生きていれば何かしらのストレスは生じるものだし、そもそも私たちは少々のストレスには問題なく対処できます。実際、「適度なストレスは健康にいい」という主張すら存在するくらいです(真偽のほどは不明)。

つまり、心理コストは閾値(=超えてはいけないライン)付近に近づいた場合は大問題ですが、閾値を十分に下回っている場合はコストとして気にかける必要はありません。これは金銭コストや時間コストとは大きく異なる点です。

心理コストの特徴②:完全に主観的である

しかし、心理コストが閾値に近づいているかを客観的に判断することは不可能です。なぜなら、このコストは完全に主観的であるからです。これが心理コストの2つめの特徴です。

なお、ここでの「主観的/客観的」という言葉は「観察して、数えられるか(客観的)、そうでないか(主観的)」という意味です。詳しく学びたい方は以下のエントリーを参考にしてください。

話を戻しましょう。簡単に挙げられるだけでも、心理コストには以下の特徴があります。

  • 何がストレスであるかは、人によって違う
    • しかも、同じ人であっても、考え方を変えるだけで、昨日までストレスだと思っていたことがまったく気にならなくなることもある
  • 自分の閾値(メンタルの強さ)を測る方法もない
    • 「自分はメンタルが強い」と思っている人が、いきなり壊れてしまうことがある

この結果として、心理コストを金銭コストや時間コストのように評価するのは不可能です。コストの大きさも、その大きさの持つ意味も、客観的に判断することはできません。

主なストレス源

心理コストそのものを客観的に評価することはできません。しかし、心理コストの発生源、つまり、ストレス源は知覚することができます。主なストレス源は以下のとおりです。

  • 人間
    • 自分
      • 延々と不安を感じたり根に持ったりする性格の人は、自分でストレスを再生産してしまう
    • (関わらざるを得ない)他者
      • 現代社会では、一緒にいてストレスを感じる他者と関わるしかないことが多々ある
      • 職場の上司・同僚、学校の先生・同級生など
  • お金の不足
    • 今後の生活に対する不安が生じる
  • 健康(体調不良)
    • ポジティブに考えられなくなる・今後の生活に不安が生じる

コストとしてストレスを考える場合、この中でもっとも注目すべきなのは「他者」です。何らかの行動に伴い、関わる他者が増えることはよくありますよね。典型的なのは進学や就職です。その他のストレス源は、心理コストとして考えるべきケースは多くありません。

もちろん、ストレス源が知覚できたところで、ストレスそのものが主観的である事実は動きません。しかし、まずはストレス源を認識することで、対策は立てやすくなるでしょう。

心理コストは金銭コストや時間コストに比べ扱いづらいコストではありますが、現代社会においてその重要性は増しています。評価が主観的になるとしても、安易に無視しないことがオススメです。

コストの分類をフレームワークとして利用する

ここからは応用編です。学んだコストの種類を、フレームワークとして使ってみましょう。なお、以下のエントリーを読んでいることが前提になるので注意してください。

話を戻しましょう。冒頭で説明したとおり、コストとは何らかの行動と引き換えに払うモノです。つまり、どんな解決策を行うにせよ、必ずコストは発生します。よって、解決策を評価する際には、「コスト」という評価軸を無条件に含めて問題ありません

順に説明します。まず、上記のエントリーで、選択肢を評価するフレームワークを紹介しました。

評価のフレームワーク

選択肢の評価 = 評価軸 × 評価軸ごとの評価 × 価値観

この「評価軸」の中には、必ず「コスト」を入れましょう。必要に応じて、そのコストを今回学んだ分類を使ってさらに細かくしてください。論点の構造にすると、以下のようになります。

  • 選択肢の評価:もっとも優れている(=選ぶべき)選択肢はどれか?
    • 評価軸:それぞれの選択肢を、どのような視点で評価するか?
      • コストはどれくらいか?
        • 金銭コストは?
        • 時間コストは?
        • 認知コストは?
        • 肉体コストは?
        • 心理コストは?
        • (上記の5つで完全に網羅的ではないので、ここに「その他のコストは?」を加えても構わない)
      • その他
    • 評価軸ごとの評価:選択肢ごとに、評価軸ごとの評価はどのようになるか?
    • 価値観:それぞれの評価軸をどのように重み付けするか?

実際にこのフレームワークを利用する際には、以下の2点に注意してください。

まず、全種類のコストを評価する必要はありません。状況に応じて、どのコストを評価するか考えてください。

また、コストのネーミングを工夫してください。状況に合わせた言い方にしたほうが、直感的に分かりやすくなります。

具体例

具体例で確認しておきましょう。選択肢の評価で作成した、部活の比較評価表を見てください。

比較表の例

では問題です。

Question

今回学んだ各コストは、上記の比較表の評価軸のうち、どれに該当すると考えられるか。該当するものがない場合は「なし」と答え、そのコストを評価しなくてよかったのか、あなたの考えを述べなさい。

以下に解答欄があるので、答えを書いてみてください。なお、この解答欄に書いたことは保存できないので、解答を保存したい場合は自分のメモアプリなどを使ってください。

評価されていないコストに関しては、私がそうした理由と、その是非について論じています。

  • 金銭コスト:なし
    • 学校の部活では金銭はほとんどかからないと考え、評価していません
    • 金銭コストが完全にゼロというわけではないので、高校生という設定も考えると、金銭コストも評価すべきかもしれません
  • 時間コスト:週あたり拘束時間
  • 認知コスト:なし
    • 評価しようがないため割愛しました
    • このコストに関しては、部活の検討において評価すべき理由はないでしょう
  • 肉体コスト:なし
    • 運動系の部活による肉体的疲労をコストと呼ぶべきなのかがややこしいので、ここでは割愛しました
    • 疲労がコストかどうかに関わらず、運動系の部活によって睡眠時間が多くなることは確実です。真剣に検討する場合はこのコストを時間コストに変換し、織り込んだほうがよいかもしれません
  • 心理コスト:人間関係
    • もちろん、人間関係を評価するのは心理コスト以外の側面(例:適切な指導が受けられるか)もあります。この項目の中に心理コスト評価が含まれているという意味です

以上、コストの種類について説明しました。次は金銭コストの分類を学びましょう。

また、ロジカルシンキング関連のエントリーは以下のページにまとめてあります。こちらも参考にしてください。

Footnotes

  1. 「借金したら、リソースがない状態でもコストを払うことができるのでは?」と思ったかもしれませんが、この場合は「借金できる能力・信用」をリソースと考えてください。

  2. コストやリソースの分類には、これ以外にも多くの考え方があります。今回は分かりやすさを重視した分類を採用しましたが、経済学における「資本」の分類も参考になるので、興味のある人は調べてみてください。

  3. ただし、買い物すること自体が目的化しているケースは例外です。たとえば、「ショッピングがストレス解消になる」という人はそれなりに存在します。

  4. なお、厳密には「ストレス」とは「負荷」のことで、肉体(物理)的な負荷も含まれます。しかし、肉体的な負荷については既に肉体コストで検討したので、ここでの「ストレス」とは心理的な意味に限定するものとします。