このエントリーでは、ゴールまでをデザインするとはどういうことかを学びましょう。
論点を設定し、それを分解し、仮説も立っているとしても、すぐに検証作業に移ってはいけません。ロジカルシンキングの第3プロセスは、ゴールまでをデザインすることです。言い換えると、手を動かす前に、どう手を動かすのかを整理します。
ゴールまでをデザインすることで、その後に控える作業を、確実に実りのあるものにできます。このエントリーでは、ゴールまでをデザインするとはどういうことなのか、その全体像を学んでいきましょう。
なお、このエントリーではロジカルシンキングのプロセス全体については説明しません。先に以下のエントリーを読んでおいてください。
では始めましょう。
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ゴールまでをデザインするとは
早速ですが、「ゴールまでをデザインする」とはどういうことか、以下のスライドにまとめました。
このように、ゴールまでをデザインするとは、以下の2つを作ることです。
- 成果物イメージ
- 計画表
詳細の前に、なぜこのようなものが必要になるのかを説明します。
なぜゴールまでをデザインするのか
ゴールまでをデザインすることは、マラソンにおいてコース(ゴールと道筋)を決めることに似ています。
コースの分からないマラソンを走る人はいませんよね。というより、マラソンではコースを主催者が決めてくれます。
しかし、「考える」という行為においては、以下の2つの理由により、コースを決めることはマラソンほど簡単ではありません。
- コースもあなたが決めなければならない(=走る人とコースを決める人が同じ)
- コースが物理的に見えない
この2つの要因のせいで、意識的にゴールまでをデザインしないと、あさっての方向に向かって考えてしまう/作業してしまうことがあるのです。
大きいプロジェクトの場合だと、「みんな必死に目の前の作業をさばいているが、チームの誰も、最終的に何がどうなるのか分かっていない」なんてことも起きたりします。これはコースを知らずにマラソンを走るくらい馬鹿げたことですが、そういうことが実際に起きてしまうのが「考える」という行為の恐ろしいところです。
このようなことを避けるためにも、意識的にゴールまでをデザインします。
状況設定
話を戻して、成果物イメージと計画表について説明します。
具体的な状況があったほうが分かりやすいので、以下の論点を考えることにしましょう。
このクラス(3年B組)は、女子のほうが男子より身長が高いのでは?
もちろん、現実だとこんな論点を考える意味はないのですが、ここは分かりやすさ重視ということでご容赦ください。
これくらい小さい論点だと、論点を分解する必要はありません。つまり、すでにロジカルシンキングの第2プロセスまでが終わっており、これからゴールまでをデザインする状況です。
では、この状況における成果物イメージと計画表を、順に見ていきましょう。
ゴールまでのデザイン①:成果物イメージ
成果物イメージとは、「最終成果物がどのようなものになるか」を具体的なイメージに落とし込んだものです。
具体例を見てみましょう。先ほどの論点に対する成果物イメージの例は以下になります。
これは最終成果物がスライドである場合の例です。この手描きスライドがPowerPointなどのソフトで清書されれば、論点に対する立派な成果物になりそうですよね(もちろん、実際のデータで男子のほうが大きければ、内容は修正する)。このようなものが成果物イメージです。
成果物イメージ:最終成果物を具体的なイメージに落とし込んだもの
成果物イメージ作成上の注意点などは、次エントリーで説明します。まずは全体像を掴むために、先に進みましょう。
ゴールまでのデザイン②:計画表
計画表とは、誰が、いつ、何の作業を行うかを記述したものです。
これも具体例を見てみましょう。今回のケースだとシンプルすぎて計画表を作る意味はありませんが、強いて作るならこんな感じです。
作業 | 担当 | 日時 | 所要時間 |
---|---|---|---|
身長の測定 (データの取得) | 自分 | 4月1日 | 1時間 |
平均値の算出 (データの処理) | 自分 | 同日 | 10秒 |
スライド作成 (成果物の作成) | 自分 | 同日 | 15分 |
誰が、何を、いつやるのかが明確になっていることを確認してください。そして、この計画を遂行できれば、先ほどの成果物イメージが本当の成果物になりそうですよね。このようなものが計画表です。
なお、実際の計画表には論点も書いたり、作業の仕込み期間(今回の例だと、身長の測定日を確定するためのやりとりなど)も含めたりするため、もう少し複雑になります。
計画表:誰が、何を、いつやるのかを記述したもの
計画表の呼び名
ちなみに、当サイトでは「計画表」という呼び名にしましたが、これを何と呼ぶかは業界や組織によって異なります。代表的なものは以下になります。
- ワークプラン
- ガントチャート
- 工程表
- 管理表
実質的な違いはないので、好きな呼び名を使ってください。
なお、「スケジュール」も使えなくはありませんが、「スケジュール」という言葉は「予定そのもの」と「予定が表などの形で網羅的に整理されたもの」のどちらを表すのかが曖昧です。ここで作りたいのは後者なので、それ専用の言葉を使ったほうがよいでしょう。
まとめ
シンプルな例で進めてきましたが、これが「ゴールまでをデザインする」ということです。成果物イメージと計画表によって、最終成果物までの道筋が明確になったことを確認してください。
もちろん、論点が大きくなれば成果物イメージは増えるし、計画表も複雑化します。しかし、エッセンスとしては何も変わりません。とにかく、ゴールを明確にして、そこに向かって進めそうな感覚を掴むことが、このプロセスにおける目的です。
「ゴールまでをデザインする」プロセスの目的は、ゴールに向かってブレずに作業できそうな感覚を掴むこと
コースを決めて、走る
成果物イメージと計画表を作ることで、あなたの目の前にコースが現れ、それを走りきることが現実的なのかを検討できます。走りきれそうなら、あとは全力で走るだけですよね。
なお、走っている途中でコース変更をすることは構いません。「考える」という行為はそんなに予想どおりに進むものではないからです。ここで言っているのは、コースを決めていないのに走り始めるのはダメだ、ということです。最後に見たいものを、最初に考えましょう。
最後に見たいものを、最初に考える
以上、ゴールまでをデザインするとはどういうことかを説明しました。次回は成果物イメージを掘り下げましょう(後日投稿予定)。
また、ロジカルシンキング関連のエントリーは以下のページにまとめてあります。こちらも参考にしてください。