AIでできること・できないこと

このエントリーでは、AIでできること・できないことの全体像を説明します。

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AIでできること:全体像

早速ですが、AIでできること・できないことを以下の表にまとめました。

なお、あらゆる用途を網羅することは現実的ではないので、「これまでMicrosoft系のアプリで仕事をしてきたビジネスパーソン」が使いたくなる用途をメインにしています。その点はご了承ください。

AIでできること・できないこと(2026年10月時点版)凡例::メインで使用する:精度・効率を高めたいときに利用する:AIではできない・やるのは不向き※高性能モデルの使用はすべての用途の精度・効率化にかかるため、表には含めていない(ただし、一部の高性能モデルでは、応答にかかる時間が⻑くなる点は注意)大分類中分類小分類チャット(通常モード)①カスタム化②知識の拡張③エージェント化④自動化⑤マルチモーダル化基準難易度音声会話機能個人的な悩み相談専門知識への相談(医療・法律など)決める・責任を引き受ける簡単な調べものWeb検索正式なリサーチ:二次情報リサーチ機能(Deep Researchなど)正式なリサーチ:一次情報体系的な教材として教材の活用・教材を説明する教師としてNotebookLM小さいトピックを理解する定着・練習する音声会話機能経験・体験する(実際にやる)・万人にオススメの用途問題意識を持つ(問おうとする)・原理的に、ここは人間の仕事として残る発想する・リストアップする明瞭化する評価する論点を分解する成果物イメージを作るリサーチを設計・計画する(特に、一次情報のリサーチ)内容を批判させるファイル添付スタンスを取る(リスクを負う)・「少しは偏ったことを言う」というのがこれからの時代の思考・文章術なのかもしれない下書きを作成する校正・表記チェック要約する(自分の文章・資料)翻訳する(自分の文章・資料)構成・たたきを作る・ロジックをテキストで固めた段階で一度作らせて見せ方の参考にする。減るものはない細部まで作り切る・AIでできることが増えるほど、やらなくていいことまでやろうとしがちなので注意--資料の内容を把握・要約する(契約書、専門外の報告書など)ファイル添付外国語の資料を読むファイル添付データの集計・分析簡単なもののみファイル添付コード実行グラフ・図表を作るコード実行特定のデータ・ファイルの探索ファイルの操作権限をAIに与える大量データ・ファイルの整理ファイルの操作権限をAIに与えるコードを書かせるWebサイトや業務ツールの開発マクロなどの簡単なものはチャットで作れるClaude Code・Codexなど・「AIツール開発」の中心。自分で責任をとれる・手作業でリカバーできる範囲から始める定期的な情報収集・モニタリング・実行時に人がいないため、誰が何を確かめるかの設計が特に重要定型レポート・定型返信・手作業で戻せる範囲を超えたら、テストと運用を分ける画像・LLMの画像生成機能・Stable Diffusionなど動画・Veo(Gemini)・Runwayなど音楽・Sunoなど3D・Meshy、Tripoなど※1:「AIの使用が、ユーザーにとって本当の利益になったか」の判断。易:正解がないか(=確認が不要)、その場で確認できる 難:正解があるのに、確認するには相応のコストがかかる易・このあたりはすべて、「知識労働者の当然の作法」になると予想される ー 何を採用するかは自分が決めればいいので、やらない理由が存在しない・「AIと一緒に考える」が当たり前になるということ・ただし、「分解する・計画する」あたりは丸々カットされる未来もありえる ー 論点が明確になったらAIに丸投げすることが主流になる? ー 人間手動で考え、AIの回答を検証するためには、このあたりの手綱は人間が握るべきではあるAIができるのは下書きを作ることまでで、誰かと関係をつくるのはあなた自身1. やりとりする5. 作業をさせるカスタムAI、またはSkillとして実装する欲しい結果が出たか・チャットでもできるが、カスタムAIかSkillを使うのがオススメ ー 自分の文体、表記ルール、辞書などを登録しておくと精度が向上する・将来的には、カスタム化まで含めた形で、アプリ側の標準機能になりそうAIは「もっとも正しそうなこと・他者も合意してくれそうなこと」しか言わない。リスクを負って偏ったことを言うのは人間にしかできない2. 答えを聞く(検索の代替)AIで行うことロジックを視覚化する部分(図解や画像の選択)には、まだ人間に優位性があるリクエストが正しく実行されたか自動化エージェントとして実装するAIは頼まれたことをやるだけで、やる必要があるかは問わない。止める人がいないのはここ・エージェント機能のとっかかりとしてオススメ伝えるという行為そのもの・一概に否定されるものではないが、おしゃべりは人間相手にするのが健全ではないか・ここも「効率化と裏取りコストのジレンマ」が存在するため、慎重な利用が必要 ー 確実に理解しなければならない資料や、重大な責任が生じる複雑な分析などで使うのはリスクAIは与えられた問いには答えるが、問いそのものは持たない。最初に問いかけるのは人間の仕事人と関係をつくる(交渉・謝罪・動機づけ)カスタムAI、またはSkillとして実装するおしゃべりの相手(コミュニケーション自体が目的)代わりに理解させる分解する・計画する成否の判断(※1)分析させる易学ぶ感情的に満たされたか・AIは教師の代わりにはなるが、教材の代わりにはならないということだろうAIの回答が正しいか難AIの回答が有用かスライドAIは一次情報を集められないロジック(文章)使用するAI・機能(その前に)この作業をやる意味があるか備考使えるものが生成できたか繰り返す相談する文章易易・内容に比べて、伝達のほうが人間の担当領域が多く残るということかもしれないAIは大量の情報をひとまとめに出力できないので、AIを使う意味がない(書籍や動画講座が優位)ディベートする易AIは決裁できないし責任も負えない。「AIが言っていた」は責任の受け皿にならない自動化エージェントとして実装する実際に伝えること、特に、「対面で」、「情熱を持って」伝えること、「その内容に責任を負うこと」は人間にしかできないカスタムAI、またはSkillとして実装する創る・別ルートだと考えるのがよさそう ー テキスト以外のメディアを出力する場合、そもそものAIモデルや、最適なUIが変わってくる ー 結果として、ここにメインで取り組む場合、LLM以外のAIサービスを使うことになる(ことが多い)・すでにこれらを外注しているなら、コスト削減プロジェクトとして取り組む価値は大きい探す・整理させる6. 非テキスト系メディアの生成カスタムAI、またはSkillとして実装する3. 議論する・一緒に考えるカスタムAI、またはSkillとして実装する論点・仮説4. 考えたことを伝えるAIはあなたの代わりに経験・体験できない・これらの用途は手軽なので最初に使う人が多いが、実はもっとも扱いが難しい領域 ー どこまで行っても「効率化と裏取りコストのジレンマ」から逃れられない ー 自分でやらなくていいようにAIに任せるのに、厳密な正しさを担保したければ自分でやるしかない・最低でも、「同じリクエストを2つ以上のAIにする」などの対策をすべき・「AIの答えをどう扱うか」、「どう決めて、間違っていたらどう責任を負うのか」なども考えておく難調べるAIが有用な成果物を作成したか

見てのとおり、かなり大きいです。画面上で見にくい場合は、以下のボタンからExcelをダウンロードしてください。

表の見方

この表は、以下の構造をしています。

  • 縦軸:AIでできること・できないことがカテゴリー別に並んでいる
  • 横軸:それをやるときに使う必要があるAIの機能
    • 主要LLM(ChatGPT、Gemini、Claudeなど)では対応できない場合は、別のAIサービス
    • 「成否の判断」については後述

基本的には、簡単な用途(チャット内で完結し、追加の機能を使う必要がないもの)から順に並んでいると考えてください。

ただ、「上から順に使って、AIに慣れていく」より、「自分にとってメリットが大きそうな用途に着手して、そこで必要となる機能の使い方もセットで学ぶ」というアプローチがオススメです。

このエントリーでは横軸(AIの機能)については詳しく説明しませんが、機能の使い方を学ぶコストは大きくありません。1時間もあれば概要はわかるし、使ってみればわかるものばかりです。

というより、結局のところは使ってみないとわからないので、まずは使うしかありません。

AI利用において、「難しい機能はよくわからないから、チャット内に収まる使い方に留まる」という考え方が一番もったいないです。わからないことがあったら、それもAIに聞くだけなので、とにかく試してみましょう。

ポイント

表を細かく説明していると長くなるので、先にキーポイントを説明します。

  • ひとつは「3. 議論する・一緒に考える」に属する用途でAIを使うべき
    • 「2. 答えを聞く」は、使うのは簡単でも、使いこなすのは難しい用途
    • オススメはAIとディベートすること
      • これなら誰でもできるし、AI時代に必要な能力を開発できる
  • 「AIではできないこと」もセットで意識したほうがいい
    • いまはまだ「AIを使いこなせること」が強みになるフェーズだが、将来的に「AIでできること」は誰でもできるようになる
    • 中長期的には、「人間にしかできないこと」で差別化を図らないと苦しくなるのでは

AIでできること①:やりとりする

ここからは、表を上から順に見ていきましょう。大分類ごとに説明します。

まずは「やりとりする」からですね。これは要するに、AIとおしゃべりする(=AIとやりとりすること自体が目的である)ことです。具体例としては、以下のものがあります。

  • はじめてAIを使うときの「こんにちは!」という入力
  • 「今日はこういうことがあった」といった入力

当然ですが、おしゃべりなので、チャット以上の機能を使う必要はありません。あるとしても、テキストが面倒なときに音声入力・音声会話機能を使うくらいでしょう。

私はこの用途でAIを使用したことはありませんが、公表されているデータ上では、このような利用もごくわずかにあるようです。

率直に言って、健全な使い方とは思えませんが、自分がやっていないことをどうこう述べるのも違うと思うので、この用途に関してはここまでとさせてください。

AIでできること②:答えを聞く(ネットの代替)

次は「答えを聞く」ですね。ここに属する中分類としては、以下のものがあります。

  • 相談する
  • 調べる
  • 学ぶ

ざっくり、これまでネットに聞いていたこと(検索、Q&Aサイト)の代替・上位互換だと考えてください。

これらがAIのメイン用途である人も多いでしょう。AIの標準機能でできることがほとんどで(使ってもファイル添付やDeep Researchまで)、手軽にAIのメリットを感じやすいカテゴリーです。

AIに答えを聞くことの問題点

ただ、AIをこの用途だけで使うのはやめたほうがいいというのが私の意見です。理由は以下の3点です。

  1. AIの言いなりになるリスクが高まる
  2. 裏取りコストのジレンマ問題から逃れられない
  3. AIの位置付けを矮小化している

順に説明します。

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問題点①:AIの言いなりになるリスクが高まる

まず、答えを聞く用途でAIを使うほど、AIの言いなりになるリスクが高まります。

理由はシンプルで、「答えを聞く」ということは、基本的に「AIの回答を『正しいもの』として受け入れる」ことを意味するからです。というより、そういう使い方になる用途をこのカテゴリーにまとめました。

言い換えると、これらの用途では関係性として、私たちが下で、AIが上です。私たちは、なんでも知っているAIに正解を教えてもらうわけですね。

そういう使い方ばかりしていては、いつかAIがあなたの中で神様になるでしょう。

神様の言うことがいつも本当に正しいなら、それも悪くないかもしれません。ただ、いまのところそうなってはいないし、これからそうなるかもわかりません。現状、このような傾向を加速させることはリスクだと言わざるを得ません。

Point

AIに答えばかり聞いていると、AIが神様になる

ということで、答えを聞く用途は多くともAI利用の半分くらいに留めて、残りの半分はAIと対等な関係性になる用途にしたほうがよいのではないか、というのが私の意見です。

問題点②:裏取りコストのジレンマ問題から逃れられない

もちろん、答えを聞く用途であっても、「複数のAIに同じことを聞く」、「少しでも怪しいと思ったら別ルートで調べる」といったことをしているなら、AIを神様扱いしていないと言ってもいいでしょう。少なくとも、「相談する・調べるときは、必ず複数のAIに聞く」くらいは実践することをオススメします。

ただ、このような対策はどうしても実践しにくいし、今後AIが賢くなるほど実践できなくなるはずです。

というのも、そもそも楽をしたいからAIに答えを聞いているからです。私たちがAIに答えを聞くようになったのは、「それまでの方法より手軽で、答えが正しそうだから」ですよね。AIがいまほど賢くなかった時代には、誰もAIに答えを聞こうとは考えませんでした。

つまり、お手軽に正しい答えに至れることが、私たちがAIに答えを聞く理由です。それなのにAIの答えを疑ったり、徹底的に裏取りしていては、なんのためにAIを使ったのかわかりません。

一方で、まだAIの答えが「絶対的に正しい」と見なせるステージでないことも事実なわけです。

これが、表における「成否の判断(AIの利用がユーザーにとって本当の利益になったか)」が「難」になっている理由です。このカテゴリーでAIを利用する場合、それが私たちの利益になるには「AIの答えが正しい」必要があります。しかし、その判断は簡単にはできません。

まとめると、「AIに答えを聞いて楽をするには『AIの答えは正しい』という前提が必要になるが、その前提が正しいかはわからない」という問題があるのです。この問題を解決するにはAI以外の手段で答えを探すしかなく、それをすれば「お手軽に正しい答えに至れる」という当初の動機に矛盾します。ここにジレンマがあるわけですね。

ちなみに、この問題はネットにも存在しますが、ネットにおいては「出所などで情報の信頼性を評価する」というコンセンサスができています(例:政府系サイトに掲載されている情報の信頼性は高いと見なす)。また、ネットではみんなが「同じ情報」を見るので、中長期的には信頼性の低い・役に立たない情報は淘汰される(見つからなくなる)と考えてよいでしょう。一方、AIは「ユーザーしか見ない、唯一の情報」をその場で作り出すので、問題は深刻化したと言えます。

私の知るかぎり、このジレンマを根本的なレベルで解決する方法は存在しません。大きい方向性としては、「AIの答えは正しい」と見なして、間違っているリスク・コストを受け入れる(意思決定の規模・インパクトに応じて、その判断も使い分ける)のかなと思いますが、しばらくは様子見が必要でしょう。

問題点③:AIの位置付けを矮小化している

最後に、答えを聞く用途でしかAIを使っていないなら、AIの位置付けを矮小化しすぎています。

後述するように、AIにはネットの代替以外の役割も任せられます。私の経験上は、そのような役割で使ったときのほうがインパクトも大きいですね。AIは「ネットの代替」ではなく、「身体を持たない、ものすごく優秀な人」と考えたほうが正しく活用できます。

Point

AIは「ネットの代替」ではなく、「身体を持たない、ものすごく優秀な人」と捉えるべき

つまり、物理世界にアクセスする必要がないことなら、AIに任せられる可能性が高いということです。今はまだ無理でも、数年以内にできるようになることも多いでしょう。ここの認識がズレているとAI活用において出遅れるので、注意してください。

なお、物理世界にアクセスできるAIは「フィジカルAI」と呼ばれ、これも注目を集めているトピックですが、このエントリーでは議論の対象外とさせてください。

AIでできること③:議論する・一緒に考える

次は「議論する・一緒に考える」です。ここは先ほどと逆で、AIと対等な関係性で利用できる用途をまとめました。具体的には、以下のものがあります。

  • ディベートする
  • 論点・仮説を立てる
  • 分解する・計画する
  • 自分のロジック(文章)を構築する・改善する

これらの用途においては、考えていることに絶対的な正解が存在しません(=成否の判断が私たちの主観で行える)。また、こういう用途でAIを使おうとする時点で、あなたが思考の主導権を握っているはずです。AIを対等な思考パートナーとして扱えるでしょう。

言い換えると、AIを神様ではなく、壁打ち相手と考えるのがこのカテゴリーです。

まずはAIディベート

先述のとおり、「答えを聞く」用途でAIを多用することはオススメできません。そこで、AIを使っていくなら、まずはこのカテゴリーでの利用を増やすのがオススメです。

ただ、学生が常になんらかの論点を考えるというのも難しいだろうし、普段はルーチンワークに追われている社会人も多いでしょう。

そこでオススメしたいのが、AIディベートです。

AIディベートであれば、論点を自分で用意する必要はありません。ただ「やる」と決めて実行すれば、それだけで有意義なAI利用の第一歩が踏み出せるし、「カスタムAI」という、通常のチャットより一歩進んだ機能の使い方も身につきます。

また、AIディベートでは、AIの精度が問題になりません。AIは「倒すべき相手」であり、「正しい答えをくれる神様」ではないからです。これ以上AIが賢くなっても、人間の勝ち目がなくなってシラけるだけでしょう。すでにトレーニングとして完成された形式だと言えます。

もしまだこのカテゴリーに属する用途でAIを使っていないなら、ぜひAIディベートにトライしてください。詳細は以下のエントリーにまとめています。

AIでできること④:考えたことを伝える

多くの場合、考えがまとまったら、それを他者に伝える必要があります。このカテゴリーにおけるAIの用途は、以下のものがあります。

  • 文章を書く、改善する
  • スライドを作成する

なお、文章とスライド以外のメディア(画像など)は、別ルートとして「6. 非テキスト系メディアの生成」にまとめています。ご了承ください。

このあたりから、チャット以上の機能が必要になる

基本的に、このあたりからは「カスタムAI」や「スキル」といった、AIの挙動を制御する機能を使うのがオススメです。というのも、文章なら表記ルール、スライドならテンプレートといった形で、AIに前提やプロセスなどを与えたくなるからです。それを毎回チャットに書くのは現実的ではありません。

カスタムAIに関しては、以下のエントリーにまとめています。カスタムAI作成用のプロンプトも掲載したので、まだ使ったことがないなら、何かひとつ作ってみてください。

まずは校正・表記チェック

このカテゴリーに関しては、まずは文章の校正・表記チェックから始めるのがオススメです。シンプルに、やらない理由が存在しません。他者に見せる文章はすべて、AIに最終チェックしてもらうとよいでしょう。

なお、メールの文面もすべてAIがチェックしてくれると嬉しい(送信ボタンを押した後で、実際には送信せず文面をAIがチェックして、問題がある場合だけ差し戻してくれるような機能)のですが、まだメーラーの標準機能にはなっていませんね。早晩なるとは思いますが(2028年くらい?)。

AIでできること⑤:作業をさせる

次は「作業をさせる」です。具体例としては、以下のものがあります。

  • 代わりに理解させる
  • 分析させる
  • 探す・整理させる
  • コードを書かせる
  • 繰り返す

ここが、いわゆる「AIエージェント」と呼ばれる領域です。AIエージェントの詳しい説明は、以下を読んでください。

AIコーディングを試すべき

現状、このカテゴリーでもっとも有望(=インパクトが大きそう)なのは、AIコーディング(=AIにコードを書かせること)です。

やってみるとわかりますが、AIコーディングでは「うまくいきませんでした。やり直します」といった形でAIが自己検証サイクルを回し、コードを完成させます。私たちは自然言語(普通の言葉)で指示を出すだけで、プログラミングの知識は必要ありません。

もちろん、「書かれたコードが正しいか」を自分で検証するにはプログラミングの知識が必要になりますが、ほとんどのケースでその検証は不要です。私たちがツール・システムに期待するのは「欲しい結果が出るか」であって、「正しいコードで書かれているか」ではありません。私たちは、AIに作らせたツール・システムを使って、欲しい結果が出るかをチェックするだけでいいのです。結果が出ればそれでいいし、出なかった場合は「ここが期待どおりに動かない」と伝えれば、AIは自分で原因を探して解決してくれます。

なお、プログラミングの知識がないと「自分のやっていることのうち、どこがAIコーディングで効率化できるのか」がわかりにくいという問題はあります。ただ、これも通常モードのチャットで「かくかくしかじか、こういうことをやっているけど、どこか自動化・効率化できるところある?」とAIに聞くだけです。

まとめると、プログラミングの知識なしで、自分用のツール・システムを作って自動化・効率化することが、もう可能になっているということです。

私の予想では、これから3〜5年はあらゆる業界・業務で、この「AIコーディングで作った小さなツール・システムによる業務効率化」が起こります。乗り遅れるよりは先行したほうがいいでしょうから、とりあえず何か作ってみることをオススメします。ダメでも減るものはありません。

任せすぎると危ないタスク

この話は、逆から捉えておくことも有用です。現状、コーディング以外のタスクをAIに任せることを過信すべきではありません。AIが自己検証できない以上、結局は人間のチェックが必要になるか、チェックがないまま進めることになるからです。

特に危ないのは、「代わりに理解させる」、「分析させる」あたりでしょう。これらのタスクをAIに任せると、私たちには途中経過がわからなくなります。

たとえば、AIに資料を要約させることを考えてみましょう。たしかにAIは一瞬で資料を要約してくれますが、何が要約から漏れたかは、私たちにはわかりません。たとえそこに重要なことが書かれていたとしても、私たちはそれに気づけないのです。

こう考えると、「AIに資料を要約させる」という用途は、「読んでも読まなくてもいいけど、迷っている資料」に使うのはよくても、「絶対に読んで、自分で理解しておく必要がある資料」に使うのは危険だとわかります。このように、AIに任せる前に、任せることで、どんなリスクを負っているのかを考えるようにしてください。

AIでできること⑥:非テキスト系メディアの生成

最後に、非テキスト系メディアの生成があります。代表例は以下のものですね。

  • 画像
  • 動画
  • 音楽
  • 3Dモデル

ここは別ルートだと考えるのがよいでしょう。生成するメディアが違えば、生成に使うAIモデルも、最適なUIも変わってきます。主要LLM以外のAIサービスを使うことも多いので、切り分けたほうがわかりやすいです。

別ルートを進むべきとき

なお、あくまで「別ルート」であり、「触らなくていい」という意味ではないので注意してください。特に、以下の2ケースに該当するときは、このルートを進む意味がありそうです。

  • すでに非テキスト系メディアの作成を外注している
    • AIで内製できれば、それだけでコスト削減になる
  • もっとわかりやすい、感動的な伝え方を模索している
    • 一般に、テキストのみで伝えるより、非テキスト系メディアを加えたほうがわかりやすく、感動的になる
    • 例:テキストで書いていたものを漫画にする

非テキスト系メディアには「テキストよりも直感的に理解でき、感情を乗せやすい」という強みがあります。それらの強みに頼りたいケースでは、自分で作ってみてもいいかもしれません。

画像(イラスト)だけは別ルートでなくなるかも

その意味で、画像(特にイラスト)に関しては、これからはフォーマルな文脈でも「入れるのが当たり前」になるかもしれません。

これだけ簡単にイラストが作れるようになった以上、テキスト一辺倒の文書・プレゼンというのは、単にわかりにくいだけでなく、「わかりやすく伝えることにベストを尽くしていない」と捉えられるリスクがあります。

幸いなことに、ChatGPTとGeminiには画像生成機能がついています。使いどころを見逃さないために、一度は触っておくことをオススメします。

なお、写真のような写実的な画像に関しては、「それが本当の写真なのか(現実を写しているのか)AI生成なのかを、受け手が簡単に判別できない」という問題があるため、イラストほど気軽に生成すべきではないでしょう。あくまでも「明らかに絵(作りもの)だとわかる画像」を出力すべきです。

以上、AIでできること・できないことについて説明しました。次は、文中でも触れた「カスタムAI」について学びましょう。

なお、AI関連のエントリーは以下にまとめています。