解決策のフレームワーク

このエントリーでは、「解決策のフレームワーク」を紹介します。これも基本のフレームワークなので、しっかり押さえてください。

なお、このエントリーは以下のエントリーからの続きです。先に読んでおいてください。

では始めましょう。

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解決策のフレームワーク

早速ですが、以下のスライドを見てください。

解決策のフレームワーク

このように、解決策のフレームワークとは、解決策を決めようとする際に、まずは幅広く解決策のアイデアを出し、その後にアイデアを絞り込むフレームワークです。

解決策のフレームワーク

解決策 = 解決策の洗い出し ✕ 選択肢の評価(絞り込み)

このフレームワークを論点の構造にすると、以下になります。

  • 解決策の決定:解決策として、何を行うか?
    • 解決策の洗い出し:解決策として、どんな選択肢があるか?
    • 選択肢の評価(絞り込み):どの選択肢が優れているか?(=どの選択肢を実行するか?)

ちなみに、「選択肢の評価」の論点は、「それぞれの選択肢の評価はどのようなものか?」としても構いません。しかし、選択肢を評価する理由は、もっとも優れていると考えられる選択肢を選び、それを実行することです。ここではスタンスをとって「どの選択肢が優れているか?」としておきました。

用例

このフレームワークの使用例を見ていきましょう。

いま、あなたは図書館で勉強をしていますが、隣の人がうるさくて集中できないとします。この状況下で、解決策のフレームワークを使ってみましょう。

  • 隣の人がうるさくて集中できない。解決策として、何をするか?
    • 解決策の洗い出し:解決策として、どんな選択肢があるか?
    • 選択肢の評価(絞り込み):どの選択肢が優れているか?(=どの選択肢を実行するか?)

分解した小論点に従い、まずは解決策を洗い出します。さて、どんな解決策があるでしょうか? 考えてみてください。

たとえば、以下のような解決策がありえます。

  1. 隣の人に、静かにするよう注意する
  2. 司書さんに連絡して、注意してもらう
  3. 自分が席を移動する
  4. イヤホンをして音楽をかける
  5. 勉強をする理由を思い出し、雑音に気を取られないよう集中しなおす

なお、④や⑤では効果がないと思ったもしれませんが、この段階では思いついた解決策を気軽に出すべきです。どれを実行するかはこの後に考えることなので、ここでは選択肢を増やすことに集中しましょう。

選択肢が出たら、次は選択肢を評価して、どれを実行するか決めます。どのような枠組みで評価するかはケースバイケースですが、この場合は「かかる手間/心理的コスト」と「静かな環境が手に入るか」で検討するのがよいでしょう。あなたはどれを選びますか?

問題解決のフレームワークと組み合わせる

このフレームワークは、前エントリーで紹介した「問題解決のフレームワーク」とセットで使うのがオススメです。両方とも定番のフレームワークなので、機械的に使ってしまいましょう。

2つのフレームワークを組み合わせると、論点の構造は以下のようになります。

  • XXという問題を解決するために、何をすればよいか?
    • 原因:なぜ、XXという問題は生じているのか?
    • 解決策:原因を受けて、私(私たち)は何をするべきか?
      • 解決策の洗い出し:解決策として、どんな選択肢があるか?
      • 選択肢の評価(絞り込み):どの選択肢が優れているか?(=どの選択肢を実行するか?)

原因を特定して、とりうる選択肢を洗い出し、選択肢を評価して実行する解決策を決める。これが問題解決の基本パターンなので、覚えておいてください。

練習問題

早速、練習問題でこのフレームワークを使ってみましょう。問題は前エントリーと同じにしてあるので、解決策のフレームワークを追加してください。

Question

以下のそれぞれの問題に対し、大論点を設定し、問題解決のフレームワークと解決策のフレームワークを使って論点を分解しなさい。適宜、表現を修正すること。

以下に解答欄があるので、答えを書いてみてください。

Question

問題①:家にコバエ(小蝿)が発生している

  • 家にコバエが発生しないようにするために、何をすればよいか?
    • 原因:なぜ、家にコバエが発生しているのか?
    • 解決策:原因を受けて、私は何をするべきか?
      • 解決策の洗い出し:解決策として、どんな選択肢があるか?
      • 選択肢の評価(絞り込み):どの選択肢が優れているか?(=どの選択肢を実行するか?)
Question

問題②:成績が悪い

  • 成績を上げるために、何をすればよいか?
    • 原因:なぜ、私の成績は悪いのか?
    • 解決策:原因を受けて、私は何をするべきか?
      • 解決策の洗い出し:解決策として、どんな選択肢があるか?
      • 選択肢の評価(絞り込み):どの選択肢が優れているか?(=どの選択肢を実行するか?)
Question

問題③:売上が減少している

  • 売上を回復させるために、何をすればよいか?
    • 原因:なぜ、売上が減少しているのか?
    • 解決策:原因を受けて、私たちは何をするべきか?
      • 解決策の洗い出し:解決策として、どんな選択肢があるか?
      • 選択肢の評価(絞り込み):どの選択肢が優れているか?(=どの選択肢を実行するか?)

解決策のフレームワークの注意点

解決策のフレームワーク

最後に、このフレームワークを使う際の注意点を説明します。

まず、解決策の洗い出しをしっかりやるべきです。理由はシンプルで、選択肢に上がっていないことは、評価することも選ぶこともできないからです。

ちょっと冷静になって考えたり、時間を使って検索をするだけで、思いもよらぬ解決策が見つかることがあります。逆に、洗い出しをいい加減に終わらせて評価に進んでしまうと、見つからなかった選択肢を選ぶことは絶対にできません。後から選択肢を切り捨てることは簡単なので、まずは幅広に解決策を考えましょう。

次に、選択肢の評価には、その下に追加の枠組みが必要です。このままでは、何をもって「(ある選択肢が)優れている」とするのか、判断できないからです。

選択肢の評価軸としては、以下のものがあります。

  1. インパクト(パフォーマンス):どれくらいの効果が期待できるか
  2. コスト:解決策の実行にどれだけのコストがかかるか(さらに金銭的コストとそれ以外のコストに分けてもOK)
  3. 即効性:すぐに効果が出るか
  4. 実行可能性:本当にやりきれるのか

①と②を組み合わせたものを「コストパフォーマンス」と呼び、評価に使う主要なフレームワークとなっています。ただし、コストパフォーマンスがすべてではなく、コストを度外視してでもパフォーマンスを追求するケースもあるので、状況に応じて柔軟に評価してください。

以上、解決策のフレームワークを紹介しました。次回は、解決策の評価に使えるフレームワークを紹介します。

また、ロジカルシンキング関連のエントリーは以下のページにまとめてあります。こちらも参考にしてください。