「論点」とは|ロジカルシンキングにおける意味

このエントリーでは、ロジカルシンキングの文脈における「論点」とは何かを説明します。

論点はロジカルシンキングや問題解決の起点となる概念です。すべての出発点なのでしっかり押さえてください。

なお、ほぼ同一の内容の動画もあるので、動画で学びたい方はそちらをご利用ください。このエントリーの最後に埋め込んであります(目次からリンクで飛べます)。

では始めましょう。

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一般的な「論点」

論点とは何でしょうか?

まずは一般的な「論点」の意味を確認しておきましょう。辞書には以下のように書かれています。

議論の中心となる問題点。「—から外れる」

デジタル大辞泉 goo辞書 より2024年11月19日取得

このように、普通に「論点」という言葉を使う場合、「いま議論したいこと」、「話題の中心」、「意見の対立が生じているポイント」、という意味で使うことが多いです。イメージとしては、「キーポイント」という言葉が近いでしょう。

ただ、この定義は曖昧すぎてロジカルシンキングの文脈では使い勝手が悪いため、当サイトでは「論点」をもう少し厳密に定義します。

ロジカルシンキングにおける論点

根拠主張(結論)論点•意思決定すること−これはそのまま変更しない•意思決定の結果・論点に対する直接的な答え−これが誰にとっても正しいものであることを目指す•主張が正しい理由−合理的な意思決定では、他者が主張の正しさを評価するための根拠が不可欠合理的な意思決定の3要素•合理的な意思決定では、論点に対するロジック(主張と根拠)を構築する−意思決定全般のケースと異なり、根拠がないことは認められない!?✓✓✓Why?ロジック

ロジカルシンキングにおける論点とは、答えを出そうとするひとつの問い(疑問文)のことです。

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ロジカルシンキングにおける「論点」:答えを出そうとするひとつの問い(疑問文)

たとえば、以下はこのエントリーの論点です。

  • ロジカルシンキングにおける「論点」とは何か?

あなたは、この問いに対する答えが知りたいから、このエントリーをここまで読んでいますよね(最後まで読んでもらえると嬉しいです)。このようなものが論点です。

先ほどの一般的な定義から変わっている点は、以下の2点です。

  1. 論点は問い(疑問文)である
  2. 論点はひとつである

順に説明します。

論点の条件①:問い(疑問文)である

論点の条件その①は、問い(疑問文)であることです。

つまり、ロジカルシンキングの文脈では、論点は必ず疑問文の形で書いてください。

これ以降は、疑問文で書かれていないものは論点ではありません。たとえば、「どの会社に就職するべきか?」は論点ですが、「就職活動」は論点ではありません。疑問文になっていないからです。

論点を疑問文で書くことは、ロジカルシンキングを実践するうえで決定的に重要なことです。必ずこのルールを守ってください。

なぜ疑問文しかダメなのか

なぜ、論点を疑問文で書くことがそこまで重要なのでしょう?

答えは、考えたいことを具体的に表現するには、疑問文以外の形式は使い物にならないからです。

これは本当に大事なことなので、逆からも言っておきます。単語や文節で何を書こうと、考えたいことは具体的になりません。以下のスライドを見てください。

論点の書き方•論点は疑問文で書く−単語や文節はキャッチーだが、「考えたいこと」を具体的に表現できない呼び名(例)具体例•テーマ•タイトル•見出し•新商品•新商品の開発•新商品の開発に関して•問い•疑問•論点•新商品を開発するべきか?•どのような新商品を開発するべきか?−スペックは?/価格は?•答え•仮説−仮の答え•新商品を開発するべきだ•新商品を開発するべきではない•新商品の価格は3万円以下であるべきだ単語や文節疑問文平叙文文曖昧さや誤解の原因

単語や文節で論点を表現するとは、以下のようなものを論点(考えたいこと)として掲げるということです。

  • 新商品開発(単語)
  • 新商品の開発について(文節)

このような表現は、まったく具体的ではありません。たとえば、「新商品の開発について」という文節からは、以下のような疑問文がいくつでも想像できてしまいます。

  • 新商品の開発をするべきか?
  • 新商品として、どんな商品を開発するべきか?
  • いくつの新商品を開発するか?
  • 新商品の開発は予定どおりに進んでいるか?

このように、単語や文節で「考えたいこと」を表現しようとしても、それがひとつに定まらないのです。これでは考えることはできません。

もちろん、論点を疑問文で書いたからといって、考えたいことが自動的にひとつに定まるわけではありません。曖昧な副詞や形容詞が含まれている疑問文は、意味がわからないこともあるからです。そのあたりの対処法は、これから勉強しましょう。

ここでは、考えたいことを具体的に表現するには、最低でも疑問文にする必要があることを押さえてください。

Point

考えたいことを具体的に表現するには、疑問文で書くしかない

主な疑問文の型

参考までに、主な疑問文の型と、それに対する答え(主張)の型をまとめた表を掲載します。

疑問文と、その直接的な答えとなる言説の型疑問文(論点)の型直接的な答え(主張)の型どうすれば/何をすれば、Xできるか?Yをするべきだ。Xは何か?Yだ。Whyなぜ、Xなのか?Yだからだ。Whereどこに、Xがあるか?Y(場所)にXがある。Whenいつ、Xをするべきか?Y(時間)にXをするべきだ。Who誰が、Xなのか?Y(人物)がXだ。Howどのように、Xをするべきか?Yのように、Xをするべきだ。WhichAとBの、どちらがXか?Aだ/Bだ。BeAは、Xであるのか?Xだ/Xではない。(Yes/No)Do/CanなどAは、Xするか?Xする/Xしない。(Yes/No)オープン・クエスチョンクローズド・クエスチョンWhat

ほとんどの場合、あなたが設定する論点は、この表にある疑問文のどれかと同じ形になるはずです。自分が何を問いかけているのか(=何を考えようとしているのか)、意識してみてください。

なお、この表に関しては次エントリーで詳しく解説します。

論点の条件②:ひとつである

先に進みましょう。論点の条件その②は、ひとつであることです。

これは自明かもしれませんが、念のため意識してください。フォーカスを当てて考えたいことが同時に複数あったらおかしいですよね。ひとつに絞るから、そこに思考力を集中できるのです。

もし考えたい問いが複数ある場合は、「今の論点はこれ、次の論点はあれ」という形で、考えるタイミングを分けてください。といっても、それしかやりようがありませんが1。

論点の特性:簡単には答えが出せない

ここまでの条件から、論点の特性が浮かび上がります。それは、「論点」とは、あなたにとって簡単には答えが出せない問いである、ということです。

これは論点というものの扱いを考えれば明らかでしょう。わざわざひとつの問いを「これが論点だ。この問いに対する答えが知りたい」と意識して、答えを出そうとするわけです。そんな問いが、3秒で答えが出せるものであるはずがないですよね。

たとえば、「今日の昼ごはんを何にするか?」という問いを論点と呼んで、ウンウン頭を使う意味はありません。食べたいと思ったものを食べるだけです。

つまり、「論点」というレッテルを貼られる時点で、その問いはあなたにとって簡単には答えが出せない問いなのです。

Point

論点とは、簡単には答えが出せない、ひとつの問いである

実践上の注意点

次に、実践で「論点」を使う際の注意点を説明します。

先述のとおり、定義上はどんなタイプの疑問文でも論点になれます。しかし、実践のロジカルシンキングでは、「どうすればXできるか?/Xするためには何をすればよいか?」という、行動を問いかけるタイプの疑問文しか論点になれないことがほとんどです2。

先ほどの表で確認してください。一番上のタイプの問いしかダメだということです。

疑問文と、その直接的な答えとなる言説の型疑問文(論点)の型直接的な答え(主張)の型どうすれば/何をすれば、Xできるか?Yをするべきだ。Xは何か?Yだ。Whyなぜ、Xなのか?Yだからだ。Whereどこに、Xがあるか?Y(場所)にXがある。Whenいつ、Xをするべきか?Y(時間)にXをするべきだ。Who誰が、Xなのか?Y(人物)がXだ。Howどのように、Xをするべきか?Yのように、Xをするべきだ。WhichAとBの、どちらがXか?Aだ/Bだ。BeAは、Xであるのか?Xだ/Xではない。(Yes/No)Do/CanなどAは、Xするか?Xする/Xしない。(Yes/No)オープン・クエスチョンクローズド・クエスチョンWhat

こうなる理由は、学生や研究者でないかぎり、ロジカルシンキングは問題解決の一部として使うからです。

原則として、問題は行動しないと解決しません。行動せずに、現状がゴールに近づくことはないからです。この「現状をゴールに近づける行動」は、問題解決では解決策と呼ばれます。以下のスライドも参考にしてください。

問題解決のプロセス問題・論点解決策•解決すべき問題を明確にする−何が問題なのか?何がいま、もっとも欲しいか?•論点を設定する−論点:解決策を問う問い•具体的な解決策を考え、実行の意思決定をする−論点に答える•解決策を実行し続ける−やる−必要に応じて、解決策を改善するゴール解決策をやりきる解決策を決める問題を定義するNowGoalNowGoal!??行動する考えるどうやって何を

なお、このスライドの詳細や「問題解決」という言葉に関しては別エントリーで説明しています。ここまでの説明がピンとこない場合は、以下のリンクを読んでから先に進んでください。

まとめると、問題解決では、解決策(すべき行動)を考えるためにロジカルシンキングを使います。よって、論点は行動を問いかけるものである必要があるのです。

典型的なパターンは、「XXという、よろしくないこと(問題・課題)が生じている。これを解決するために、何をすればよいか?」というものです。これを基本と考えてください。

もちろん、解決策を問いかけないタイプの問いを論点にしても構いません。しかし、その場合は本当にその論点で大丈夫なのか疑ったほうがよいでしょう。特にビジネスの場合はそうです。最後に行動につながらないことを考えて、あなたの顧客はどう満足しますか? この問いに対する答えが必要です。

Point

ビジネスにおける論点は、ほとんどの場合「解決策(行動)を問いかける疑問文」である

余談:「論点」の別の言い方・別の使われ方

最後に余談ですが、このエントリーで説明した「論点」に相当する概念は、業界によって呼び名が変わります。また、「論点」という言葉を違う意味で使う人もいるので、この2点について説明します。

関連書籍
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「論点」の別の言い方

まず、「考えたい問い」を意味する言葉として、「論点」のほかにも、以下の言葉が使われます。

  • テーマ・議題・争点(広く一般に使う)
  • アジェンダ(外資系企業)
  • リサーチ・クエスチョン(研究)

これらの言葉は、このエントリーで説明した「論点」の同義語である(=意味の違いはない)と考えてよいでしょう。ただ、言葉の定義というのは、その言葉を使う人たちの間で揃っていないと意味がありません。不安な場合は周りの人に確認しましょう。

どの呼び名を使うかですが、呼び名はただのレッテルなので、「論点」にこだわる必要はありません。あなたの好みや、周囲での使われ方に合わせて呼び名を決めればよいでしょう。

ただし、個人的には「テーマ」や「アジェンダ」という言葉にはリスクがあると感じています。これらの言葉を多用する人は、論点(に該当すること)を単語や文節で表現する傾向があるのです。

単語や文節はキャッチーなので、掴みとしてそれらの表現を「テーマ」や「アジェンダ」として打ち出すことは問題ありません。しかし、その背後には「考えたい疑問文」が必要です。ここだけ注意してください。

まとめると、論点に該当することをどう呼ぶかは、特に気にする必要はありません。とにかく、「考えたい・議論したいこと」が疑問文の形で明確になっており、議論の参加者に共有されているかに注意を払いましょう。

Point

考えたい疑問文が明確で、共有されているかをチェックする

違う意味で使われる「論点」

次に、「論点」や「問題」という言葉がこのエントリーとは違う意味で使われるケースを紹介します。

一部のビジネス書では、「論点/課題/問題/イシュー」という言葉が、原因分析を行った結果として見つかる「真因(原因の候補の中で、悪さをしているもの)」という意味で使われることがあります。

違いとしては、以下のように考えるとスッキリするでしょう。

  • 当サイトの「論点」:それを決めるまでに多くの作業や評価をしない
    • 論点を考えてから、作業や論点の評価をする
    • まだそれにリソースを投入する価値があるかはわからない
  • 別の意味での「論点」:多くの作業や評価の結果として見つかるもの
    • 議論の余地なく答えを出すべき/解決すべきこと

これは単に言葉の用法の違いなので、「そういう定義で使う人もいる」ということを覚えておいてください。当サイトでは、そのまま「真因」を使う予定です。

以上、ロジカルシンキングにおける論点を説明しました。

次は、疑問文とは何かを勉強しましょう。このエントリーで述べたとおり、論点とは疑問文です。疑問文を理解することが、論点とうまく付き合うための第一歩です。

また、論点を設定する方法が学びたいなら、以下のエントリーを参考にしてください。ただし、学習の順序としてはジャンプするうえ、内容も一気にハイレベルになります。

最後に、ロジカルシンキング関連のエントリーは以下のページにまとめてあります。こちらも参考にしてください。

動画で学びたい・復習したい方はこちら

冒頭で紹介した動画になります。内容は完全に同一ではありませんが、主なポイントは同じです。

Footnotes

  1. ただし、ある論点を考えているときにまったく別の論点に関する考えが進化することはあるので、人間の頭脳の中では無意識の並列処理が行われているのかもしれません。 ↩

  2. もちろん、「なぜXが起きているか?」のような疑問文を「論点」と呼ぶこともないわけではありませんが、基本的に原因がわかっておしまいということはありません。言い換えると、行動するために原因を調べるので、「なぜ?」系の疑問文は本質的には「何をすればよいか?」系の疑問文のサブ論点だということです。 ↩