問題・ニーズ・価値

このエントリーでは、問題・ニーズ・価値という言葉の違いを説明します。

「ビジネスとは問題解決だ」、「ニーズのないところで何をしても無駄だ」、「この事業の価値は何だろう?」といった形で、ビジネス・マーケティングに関わっていると、この3つの言葉はあらゆるシーンで出てきます。

実は、この3つの言葉は本質的に同じです。ただ、完全な同義語というわけでもありません。これらの言葉はマーケティングを学ぶ上でのコアなので、きちんと整理しておきましょう。

なお、このエントリーの内容は、「問題解決」という言葉の理解を前提とします。もしまだこの言葉に馴染みがないなら、以下のリンクを先に読んでください。

では始めましょう。

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問題・ニーズ・価値の違い

早速ですが、結論を以下のスライドにまとめました。

問題・ニーズ・価値

この3つの言葉は、どれも「ゴールと現状のギャップ」を述べているという点で、本質的には同じです。まずはここを押さえてください。

Point

問題・ニーズ・価値という3つの言葉は、どれも「ゴールと現状のギャップ」を意味し、本質的には同じ

ただ、スライドにあるとおり、「ゴールと現状のギャップ」を述べるときに、どの時点・視点から述べるかで、貼られるレッテル(名前)が変わります。3つの言葉の違いはここにあります。

Point

「ゴールと現状のギャップ」をどの時点・視点から述べるかで、貼られるレッテルが変わる

具体例

先に具体例を見たほうが分かりやすいでしょう。衣食住に関するシンプルな「現状とゴールのギャップ」を、3とおりに表現しています。

問題ニーズ価値
服のサイズが合わない。サイズの合った服がほしい。服のサイズが合っている。
お腹が空いた。何か食べたい。満腹になる。
家が狭い。広い家に住みたい。家の広さに満足している。

順に説明します。

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問題

まず、「問題」というレッテルでは(「課題」となることもある)、「ゴールと現状のギャップ」のうち、現状に焦点が当たります。この場合、「Xではない・Xできない」といった、不足・不満を表す表現になります。

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このビジネスは、どんな問題を解決するのか?

panda

穴が開けられない人の助けになれます。

ニーズ

次に、「ニーズ」というレッテルでは「ゴールと現状のギャップ」のうち、ゴールに焦点が当たります。ニーズは「Xでありたい・Xしたい」といった、願望・必要性を表す表現になります。これはニーズ(needs)という言葉の意味そのものですよね。

bear

顧客のニーズは何なのか?

panda

穴を開けたいんですよ。

価値

最後に、「価値」というレッテルでは「ゴールと現状のギャップ」が閉じた状態、すなわち、問題が解決された時点からこのギャップを表現します。よって、価値は「Xである・Xできる」といった、満足・達成を表す表現になります。問題が解決されれば、買い手は満たされますよね。それが価値だということです。

bear

このビジネスの価値は何か?

panda

穴を開けられることです。

使い分けの方針

このように、同じことを意味する言葉が3つもあってややこしいですが、文脈に応じてフィットする表現を使ってください。先述のとおり結局はどれも同じことなので、そこまで慎重になる必要はありません。

強いてガイドラインを作るなら、「ニーズ」を使って問題ないときは、「ニーズ」を使うとよいでしょう。「問題」と「価値」は一般に使われる言葉なので、誤解されるリスクがゼロではありません。一方、「ニーズ」は完全なマーケティング用語なので、知っている人同士なら意味が揃います。

以上、「問題・ニーズ・価値」の違いを説明しました。次は、この概念を使って「市場」という言葉を定義しましょう。

また、マーケティング関連のエントリーは以下のページにまとめてあります。こちらも参考にしてください。